タンパク質解析受託サービスについて
質量分析計を用いたタンパク質同定は、基礎研究のみならず臨床検体を用いた疾患関連タンパク質の解析においても重要な役割を果たしています。
弊社の創業者の1人である岩手医科大学医学部内科学講座 リウマチ・膠原病・アレルギー内科分野教授の仲哲治のグループは、質量分析計を用いて、臨床検体を用いた疾患関連タンパク質の解析を20年近く行ってまいりました。その研究成果の一例として、自己免疫疾患である関節リウマチ患者の治療前後の血清を定量的にプロテオーム解析することで、新規炎症性タンパク質としてLeucine-rich alpha-2 glycoprotein(LRG)を同定し、血清LRGが関節リウマチの疾患活動性を評価できる新たなバイオマーカーとなり得ることを報告しました(Serada, Naka, et al., Ann Rheum Dis. 2010, Fujimoto, Naka, et al., Arthritis Rheumatol. 2015)。
また、血清LRGは、従来の炎症マーカーであるC-reactive protein(CRP)では疾患活動性が評価しにくい炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)において、疾患活動性を評価することが可能なマーカーとなり得ることを見い出しました(Serada, Naka, et al., Inflamm Bowel Dis. 2012, リンク先1 、リンク先2 )。
その後 、血清LRGを定量する検査試薬を企業と共同開発し、厚生労働省から体外診断用医薬品としての製造販売承認を得て、保険収載の取得に至った実績も有しています。
この度、弊社では質量分析計を用いたタンパク質解析受託サービスを開始致しました。ナノLC-MS/MSを用いてサンプルを分析し、ペプチドのアミノ酸配列を解析することでタンパク質同定を行います。弊社メンバーは、プロテオミクス解析からバイオマーカー実用化までの実績を有していますので、信頼性のあるタンパク質受託解析サービスを提供出来ると考えています。サンプル調製に当たりましては経験豊富な弊社担当者と相談の上、ベストな方法を選択して頂くことが可能ですので、多くのユーザー様に本受託サービスをご活用いただけますと幸いです。弊社には基礎研究者、臨床医が在籍していますので、受託サービスのご利用をお考えのユーザー様にはサンプル調製に疑問がございましたら、受託サービス活用前に遠慮無くご相談いただければと思います。また、解析内容によりましては受託解析サービスとは別に共同研究の形態でも解析を行うことも検討致しますので、お気軽にご相談ください。
以下の2つのタンパク質解析サービスを実施しています。
*注意点:同定出来るタンパク質はSwiss-Protデータベースに登録されているタンパク質に限ります。
解析に用いる主な装置・機器類
質量分析計:LTQ Orbitrap XL(Thermo Fisher Scientific)
HPLC:Paradigm(AMR)
ご利用方法&お申込み
弊社でのタンパク質解析は、基本的に「受託解析」となりますが、ご相談の上「共同研究」としての解析も対応致します。
受託解析の手順は、「質量分析計を用いたタンパク質同定受託解析依頼書」および「免責事項同意書」をダウンロードしてご記入ください。
- ご利用申込み
代理店を介して「質量分析計を用いたタンパク質同定受託解析依頼書」を弊社に提出して頂き、見積書を作成します。 - 解析内容・コスト等について弊社担当者とご相談、合意
- 受託サービスの正式発注(「サンプル」および「免責事項同意書」を弊社に輸送)
- 受託解析の開始
ご利用申し込み前にサンプルについて質問などございましたら、弊社へのお問合せフォームにてご連絡お願い致します。
なお、お申込み受領後、受領メールを送付いたします。数日以内にメールが届かない場合は、お申込が未達の可能性がございますので、(TEL:019-651-5111/内線:5635)までご連絡をお願い致します。
主要な論文
- 1)Serada S., et al, Proteomic analysis of autoantigens a ssociated with systemic lupus erythematosus: anti-aldolase A antibody as a potential marker of lupus nephritis. Proteomics clinical applications. 2007;1(2):185-191
- 2)He P., et al, Proteomics-based identification of a-enolase as a tumor antigen in non-small lung cancer. Cancer Science. 2007;98(8):1234-40.
- 3)Kim A., et al, Enhanced expression of Annexin A4 in clear cell carcinoma of the ovary and its association with chemoresistance to carboplatin. Int J Cancer. 2009;125(10):2316-22.
- 4)Serada S., et al, iTRAQ-based proteomic identification of leucine rich alpha 2 glycoprotein (LRG) as a novel inflammatory biomarker in autoimmune diseases. Ann Rheum Dis. 2010;69:770-774
- 5)Yokoyama T., et al, Plasma membrane proteomics identifies bone marrow stromal antigen 2 as a potential therapeutic target in endometrial cancer. Int J Cancer. 2013;132(2):472-84.
- 6)Tang H., et al, CD134 is a cellular receptor specific for human herpesvirus-6B entry. Proc Natl Acad Sci U S A . 2013;110(22):9096-9.
- 7)Takahashi T., et al, New findings of kinase switching in gastrointestinal stromal tumor under imatinib using phosphoproteomic analysis. Int J Cancer. 2013;133(11):2737-43.
- 8)Hiramatsu K., et al, Similar protein expression profiles of ovarian and endometrial high-grade serous carcinomas. Br J Cancer. 2016;114(5):554-61.
- 9)Hara H., et al, Overexpression of glypican-1 implicates poor prognosis and their chemoresistance in esophageal squamous cell carcinoma. Br J Cancer. 2016;115(1):66-75.
- 10)Hiramatsu K., et al, LSR antibody therapy inhibits ovarian epithelial tumor growth by inhibiting lipid uptake. Cancer Res. 2018;78(2):516-527.